どうも、エンジニアブロガーたか丸(@takamaru_bkrk)です。
当ブログの人気記事のひとつがDACキットの改造に関する記事です。秋月電子でキットを買って改造して遊んでました。2年前の記事なんだけど改めて読み返すと文章がかなりひどい…
というわけで、今回は過去の記事に加筆修正して再度まとめておきます。
作ったもの
改めて、作ったものを紹介します。
作ったのはオーディオ用のDAC(D/Aコンバータ)です。音楽のデジタルデータをアナログの音声波形に変換する部分ですね。データから波形に変換する部分の性能を上げることでPCやスマホの音質を向上させることができます。低コストで比較的簡単に作製することができました。
電子工作の中でも実用的なもののひとつですね。
音質向上の効果
音質向上は休日に家でカフェごっこをするときに役に立ってます。
高ビットレートなネットラジオLINN RADIOに接続し、クラシックとかイージーリスニングなBGMをかけてコーヒーをすすってます。家でコーヒーを淹れるのが好きなんですよね。仕事の日はなかなかホッとする時間がないので土日くらいはゆっくりしたいです。
音質が向上したことで生演奏とまではいかないけど、より没入感というか臨場感が増しました。ひとつひとつの音に意識がいって他の雑念が消え、一種の瞑想のような状態になってリフレッシュできるんですよね。自然の音とか録音して使うのもよさそう。
DACの効果は、ロックなどの賑やか系音楽よりも、生音系の静かな音楽のほうがわかりやすかったです。ピアノの音なんかはかなり本物の音に近づきました。本当にそこで弾いているんじゃないかと思えるほどです。坂本龍一のウラBTTBってこんな名曲だったのか!
ロック系でも打楽器はレベルアップして聞こえますね。ドラムのハイハットの残響音がかなり気持ちいいです。ナンバーガールの鉄風鋭くなっての冒頭がヤバイ。
音質が向上したのはiPhoneの内蔵DACがしょぼすぎるだけという気もしないでもないです。
まあ好き嫌いがある分野だから一概にいい音になった!とは言えないけど、自分で作った思い入れ効果とかプラセボ効果もあって音は確実に変化したように感じました。
使用システム
実際に使用しているシステムを紹介します。
システム1 iPhone6 ー DAC ー イヤホン
システム2 iPhone6 ー DAC ー アンプ ー スピーカー
図の作成にはdraw.ioを使用しました。
iPhone6とDACの接続にはカメラアダプタを使用しています。
使用キット
使用したDACキットは秋月電子のAKI.DAC-U2704 REV.Cです。
音質で定評がある、バーブラウンのPCM2704を使用したUSB接続D/Aコンバーターキットです。 標準デバイスドライバで動作しますので、専用ソフトのインストール作業は不要です。 コンデンサや抵抗などは好みの部品を実装できるようにリード部品対応となっています。 付属の部品で完成させることもできますが、他の(お好みの)部品を用意して完成させることもできます。
特長
・バーブラウンのPCM2704を使用。
・専用デバイスドライバーのインストール作業が不要。
・ディジタル部とアナログ部のGNDのパターンを分離し一点アースする等音質に配慮した設計。
・小型化と利便性を両立させました。
・PCM2704を始め表面実装部品は予め実装済み。
・アナログ部はパーツの変更や交換を想定したリード部品仕様。
・S/P DIF出力にも対応(接続のためのパッドを基板上に配置)
・オーディオ用ハイグレード電解コンデンサが付属。主な仕様
・電源:USBパスパワー(基板上レギュレータICで3Vを生成)
・出力:RCAピンジャックx2(白・赤)
アナログ2ch(L・R)、ラインレベル
・サポートOS:
WinXP、Vista、7(32bit/64bit)
MacOS X(10.4.2~)
・USBコネクタ:ミニBコネクタ
組み立ては非常に簡単で、電子部品を15点ほどはんだ付けするだけで完成してしまいます。
DAC ICなど面実装の細かい部品は実装済みなので、自分ではんだ付けするのはリード部品だけです。
簡単に作れると言ってもその音は十分実用ですね。ちょっと改造を加えれば、音質向上の効果がハッキリと実感できます。市販品の入門機クラスになら勝てるのでは?(知らんけど)
関連記事:1700円のDACキットでデジモノ工作に入門 AKI.DAC-U2704 REV.C
キットからの3つの変更点
キットを組み立てただけでなく、以下の変更を加えました。これらの変更によりさらに実用的なものになってます。
- 基板むき出しからケースへ
- イヤホンを直接接続できるジャック追加
- 音質向上のための回路を追加
基板むき出しからケースへ
キットだけだと基板むき出しだったので、設置しやすくするためにケースに入れました。
また、基板むき出しだと使っているうちに静電気やホコリなどで壊れてしまうかもしれません。実用化の際にはケース必須です。
ケースはタカチYM-100を使っています。秋月電子など普通の電子部品屋で入手できます。
ただしこのケースは穴あけ時にバリが出やすく処理が非常に大変です。おすすめできません!
次作ることがあったらサイズは同じくらいの樹脂製にしようと思ってます。工作に時間がかかる素材をわざわざ選ぶことはないです。
うっかり傷も入ってしまってビミョーな仕上がり。
ケースの加工にはこのドリルを使用してます。
エフェクター自作に持ってると便利!な電動ドリル選びに失敗した話
が、片手で扱うには重いのでおすすめできません!
関連記事:秋月キットDACをケースに入れてみた
ジャック追加
イヤホンを直接接続するためにミニピンジャック(マル信無線電機 MJ355W、写真左上)を追加しました。
キットの音声出力ジャックはRCAジャックのみで、イヤホンを接続するためには変換が必要です。RCAはスーパーファミコンとテレビを繋いでいたのと同じタイプですね(写真右下)。
いつも変換を繋いでるのは邪魔なのでケースに入れるついでにジャックを追加しました。追加のための工作は、キット基板の出力をミニジャック繋ぐだけ。簡単にできて効果の高い工作です。
回路を追加
音質向上のために簡単なフィルタ回路を追加しました(写真右上)。これにより音のクリアさが向上しました。
実はキットのままだとDAC ICの性能を十分に発揮できてません。
その原因はキット回路の設計上明らかで、デジタルデータのキャリア周波数を十分に落としきれずノイズとして残ってしまうため、必要以上にSN比が悪くなっているためです。
このノイズを取り除くためにフィルタを追加しました。
追加したフィルタはかなり基本的な構成です。抵抗とコンデンサのローパスフィルターを2段にしていて、カットオフ周波数は40kHzに設定しています。同じフィルタがLRで合計2つ必要です。
聴いた感じの変化は音のクリアさの向上です。没入感の向上に役立ちました。
関連記事:DACキット改造!音質は向上するのか!?
以上の変更によってキットを組み立てただけの状態から、より実用的なものになりました。
まとめ
製作したDACについて、その効果や工作の内容をまとめてみました。
かなり簡単に作れるんだけど、家に引きこもる時間をググッと快適してくれるのでオススメな工作です。2年くらい前に改造を終えてまだまだ現役でつかってます。週末にちょっと挑戦してみては?